2016年8月31日水曜日

ジャンク Roland DEP-5 のレストアに挑戦いたす!

とにかくこの時代の機材に弱い。当時は学生でカネがとにかくなく、何はなくともともかくカネがなく、10万円近くするこんな機材は手が出なかった。約30年を経た今、この時代の機材がジャンクなら5000円くらいの値段で売りに出されているとついついそそられてしまう。
かつて憧れの的のひとつだったDEP-5、手をだそうかどうしようかと迷っていたのだが、バンドのオペをやってくれているU君と古い機材のハナシになったときにカレが「DEP-5いいですよ、ぼくは好きです!」などという。カレがそういうのなら間違いはない。格安のジャンクをこのたび発見し、あわよくば使えるようにできないものかと挑むことにした。



見事にジャンクである。ジャンクといっても程度はいろいろだが、とにかく「どこかが壊れている」のが前提の品物だ。

「電源スイッチが陥没していて on off ができない。通電はする。音出しの確認はしていない。動作の保証はできない。」

と商品説明には書いてあった。

外観は正しく30年の歴史を感じる程度に傷などあり。陥没したスイッチは何の手ごたえもなくスカスカである。



電源コンセントをつなくとディスプレイの表示が出たのはラッキーだった。
つまみやスイッチを触ると表示されている数値などが変化するけれど、変わり方が不安定で怪しい。ギターとアンプをつないでみたけど音は出ない
  • スイッチは基板から剥がれたか、フレームから脱落したかならラッキーだが、完全に破損している可能性あり。
  • ディスプレイの文字表示はされているのでCPUがらみはどうやら生きているらしい。ここはラッキー。古い機材だから多分電解コンデンサーは相当数逝ってしまっていて、巻き添えをくった部品もあるに違いない。どの程度部品が壊れているのかはまるでわからない。
自分のスキルで予想がついたのはコレぐらいで、動くようにもっていけるのかどうかはまったくわからない。が、動かなくて元々である。とにかくやってみることにする。

開けてみて驚いた。幸いにもスイッチは壊れてなかった。スイッチの本体はかなり奥にあって、なんとプラスチックの棒でフロントパネルにつながっていた。その棒と表面のスイッチ部品が外れていた。さらにいうと、表面の指で押すスイッチ部品は、引き抜くことは簡単にでき、抜いたら棒が下におっこちるので簡単には元通りに差し直しができない。ポット2つも同じく、プラスチックの棒でフロントパネルのノブにつながっている。いろんな工夫をしていたのだなぁとちょっと感動。



オレンジに書いたとこにプラスチックの棒がある。この棒が壊れてたらややこしいと思う。運よく無事であった。



電源スイッチはこれであっさり解決。

基板上の部品を眺めるとわかりやすく膨張した電解コンデンサを多数発見。さらにその足元は怪しい汚れ。



電解コンデンサの交換に挑むことにする。とりあえず、怪しいのから外していって基盤を掃除した。



このさいだから電解コンは全部取り換えることにした。のだがそこからがまた大変だ。どんな値のコンデンサーがいるのかを一個一個調べてリスト作って、数を整理してネットで注文。なんと地道な作業なことよ…。(もしも需要があるのならリスト公開してもよいですけど… ものすごい苦労したので200円くらいでいかが?)

数日後に部品が到着。交換作業を開始した。



ポットがいくつか基板についていて、何度も表裏ひっくり返しているとどうしてもひん曲げてしまうので心配になってきた。プロならなんらかの治具を作ると思う。でも、一回こっきりだし、なるべく簡単にできないか、と試行錯誤の後、最終的に一番都合がよかったのがダンポールで作ったカベ。

かなりの数をコツコツと交換した。間違えて取り付けるとあとできっとややこしいだろうからできるだけ慎重に… なんてことを思いつつだったのでよけいに時間もかかってしまった。

なんとか作業を終える。取り外した部品の数々の記念写真。(コレは後の作業のモノも入っている。)



電解コンデンサの全交換を終えて試運転してみた。





音は出なかった。




ところがだ、ちょこっと基板が動いたときに一瞬音が出た。いろんなところをコツコツ叩いてみたら、入力ジャックのあたりを刺激すると音が出るらしい。たまには数秒間音が出てその後沈黙することもある。その音はリバーブやらなんやら効いているいるっぽい。

いけるかもしれない!!


周辺のハンダ割れを疑う。とにかくそこらじゅうのハンダをやり直す。基板のパターンの断線もありそうだ。
そうやって調べながらその他のモロモロも触っておくことにした。

プログラムのメモリー保持用のボタン電池。



よく使われている 2032 なのだが、アシがついている。このアシをはずして新しい電池に付け直そうと考えたのだがはずせなかった。ハンダごてで加熱してみたんだけど、動く気配もなくて、加熱しすぎるのも怖くてあきらめた。
電池ボックスでなんとかしようと思う。使えそうな電池ボックスを注文した。いろいろ探したのだが、基板の穴に合うのはみつけられなかった。ホットボンドに頼ることでなんとかすることにした。



3300μFの電解コンデンサが一個ある。ハンダづけしただいぶあとで気が付いた。

このコンデンサ、背が高すぎておさまらない

寝かせて納めることにしたけど、すでにアシは切ってしまっていた。小さい基板にのせて対応することにした。



基板への電源供給線は、ピンに巻き付ける仕様になっていた。元通りにるけようとしたのだが、キレイにとりつけられそうになかったのでコネクタつけてみた。



このへんで再度試運転。



やっぱり音はでない



ああぁ、やっぱうまくいかないなぁ、がっかりしたところに追い打ちをかけるかのようになんとなく白い煙。慌てて電源を落としたのだが抵抗が2本、まる焼けになっていた。さらに、その周辺、よく見るとトランジスタが2個割れている。
手に入れたときからすでに割れていたのに気付かなかったのか、それともしくじって壊したのか、はっきりしない。

やむをえず、互換品を調べてネットで注文。


トランジスタと抵抗付け直して、試運転。

やっぱり音はでない

入力ジャックのあたりをコツコツ叩いたらときどき音が出て、でもすぐに途切れる症状にも変化がない。が、時折にでも音が出るということは、互換品のトランジスタがちゃんと働いているらしいということで、それが確認できてほっとする。ジャックの接触不良か、ハンダ割れか、基板のパターン切れか、スイッチの接触不良か、これらのうちのどれかに導通不良があるに違いない、と確信し、一個ずつ探っていくことにした。(結果として、この予想が大外れだったことが後に判明するのだが…)

まず、ジャックを疑う。はずして調べてみたけど大丈夫らしい。

基板のパターン切れはないかとルーペで追う。導通チェッカーで確かめたが、断線はみつけられなかった。

-4 +20 の切り替えスイッチがある。アシが24本もあり、いったいどういう動作をするのか見当もつかなかった。外して調べようとしたのだがどうにもこうにも壊さないで外すことができそうにない。うまくいかなくて困ったのだが、分解できることに気が付いた。で、分解して中を掃除したのはよかったのだが、元通りに戻すことができなくて、それだけで2日費やしてしまった。やっとできたと思ったら、それがまたしくじっていて中の部品を曲げてしまい、押し込んだまま動かなくなってしまった。取り出すために上のフタにあたる部分を破壊した。応急措置ながら、元と同じ動作ができるようになったのは奇跡に近い。あまりにもテンパリながらの作業が続いたこの間、写真をとる余裕もなかった。



ココロあたりはすべて調べたつもりだったのだが全部ハズレ。困った。わからない…。


入力ジャックのすぐそばにリレーがある。電源を入れて2,3秒後にカチッと音がする。カバーが透明なタイプのリレーで、電極が動くのも見える。音と同時に動いているのが見えるから、リレーは問題ないと思い込んでいた。

最終的に、接続の不良の原因はリレーの接点不良であった。コレ、けっこう多いらしい。考えてみればそらぁそうだわ。知らなかったものだからずいぶん遠回りをしてしまった。

リレーをはずして、ためしに直接つないでみた。



おぉ!!!!! 音出た!! ちゃんと動作していて感動。

しっかりエフェクターとして使えるのからこのままにしようかな、とも思ったけど、でもできれば元の仕様にしてやりたい。だが、このリレーはとっくのムカシに生産中止になっていて同じものは手に入らない。

リレーの勉強を始めた。あれこれ調べてみると、ピン配置や動作が同じものがあることがわかった。リレーにも互換品があるのだった。

互換品の新しいリレーを手に入れてとりつけた。だがリレーが動作しない。なにかしくじったらいいのでもう一度リレーをはずして…

というようにやってたら、スルーホールが抜けたり、ランドとパターンがはがれたり… えらいことになってしまった。8本もアシのあるリレーを何度もハンダしたり外したりを無事にこなすのはとても難しい。

基板やランドの修復の方法はないものか、と調べて見たら、どなたかが「力技で対応」と表現しておられた。力技いきます。



配線の取り回しを丁寧に調べて、さらにまた丁寧になんとかかんとかつないだ。1mm以下の幅の作業である。ルーペが頼りだ。不埒ながら、心臓や脳の手術するお医者さんはこんなカンジなのだろうな、なんてことを思った。お医者さんはともかくとしても、ピンセットの先が太すぎて使いにくい、なんてことを今回の作業で初めて思わされたのだった。



目いっぱい頑張ったのだが、ひょっとしたらまたどこかをしくじっているかもしれない。再度ハンダをはずすハメになるとさらに基板を痛めることになるだろうい。それは避けたいなぁと考え、ピンヘッダつけることを思いついた。これなら動作チェックもやりやすいし、最終的にどうにもならなかったとしても直結にすることもできるはずだ。動作を確かめたらうまくいっていた。ピンソケットとリレーをくっつけて合体。
これならまた数年後にこのリレーがダメになっても、基板を痛めることなく交換が可能であるという利点もある!。(そんなに使えるのか?!)



電源投入。よしよし 動作している  (^-^)



動作が確認できたので元通りに組み立てた。




部品の調達はネットだのみである。一度にまとめて買えば送料が無料になったはずなのだが、ひとつクリアしたら次の難関が見つかる、の繰り返しなのでやむをえない。結局、5回に分けて調達することになってしまった。送料が割高になってしまったけれど、例えば大阪まで買いにいってたら往復の交通費だけで5000円くらいかかる、東京秋葉原なら往復の新幹線だけで3万円だ。そう思うとしれている。

こうやってDEP-5を触ってみると、リレーの故障は一番最初にバイパス音が出ていないことでわかっていたはずのことだったのだが、知らなかったものは仕方がない。フロントパネルに バイパスと書かれていたのはこのことだったのだなぁ、と後でしみじみ思う。

経験がないというのはこういうことなのだ。今回の修理でかなり経験値もあがったのでよいのだ (^-^)

トランジスタが見た目でわかりやすく壊れてくれていて助かった。静かに壊れていたら今の自分のスキルではとても見つけようがない。

ほんとに動いてよかった。なんだかんだで一か月かかったけど、ジャンクを修理できたものの中で今回の DEP-5 が最大の収穫となったと思う。

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